【女の事件】黒煙のレクイエム
第14話
そして2011年3月11日の午後2時過ぎのことであった。

アタシはとうとう、父から『家から出て行け!!』と怒鳴られたので家出をした。

アタシは、着替えと当面の生活に必要な道具が入っているボストンバックとさいふとスマホと貴重品が入っている赤茶色のバッグを持って家出をした後にJR気仙沼駅まで歩いて行った。

アタシは、ひとりぼっちで一ノ関方面行きのJR大船渡線の列車の中で列車の出発を待っていた。

父は、アタシが家出をしたことを聞いたとたんに頭がサクラン状態におちいったので急いでアタシを探しに出た。

義母は、家の中でアタシの無事を祈っていた。

午後2時44分頃にアタシが乗っている大船渡線の列車が気仙沼駅を出発した。

それから2分後のことであった。

(ガタガタガタ…ドスンドスンドスンドスンドスンドスン…バリバリ!!ドーーーン!!ドーーーン!!)

突然、大地が裂けるような地鳴りが響いたのと同時に過激な揺れが発生した。

(キキキキキ!!)

この時、アタシが乗っている列車が気仙沼駅から700メートル先にあるトンネルの中で緊急停止をした。

何なのかしら一体…

もしかして…

巨大地震が発生したのかしら…

イヤな予感がするわ…

ここ数日の間に…

震度5弱から5強の地震ばかりが続いているので…

危なくなっているのかもしれない…

午後2時55分頃のことであった。

(ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!)

突然、恐ろしいブザーが列車内に鳴り響いていた。

「ただいま大津波警報が発令されました!!近くに高台があるので、列車を降りて避難を始めてください!!」

アタシは、車掌さんから大津波警報が発令されたことを聞いたので、ボストンバックと赤茶色のバッグを持って列車から降りた後、高台へ避難した。

(ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!・カンカンカンカンカンカン!!ギャー!!ギャー!!ギャー!!ギャー!!)

ところ変わって、中みなと町の近辺にて…

市役所の防災無線のスピーカーからものすごく恐ろしいブザー音と地区の消防団の詰所のハンショウの音がひっきりなしに鳴り響いていたのと同時に、住民たちが大パニックを起こしていた。

大津波警報が発令されたので、一刻でも早く高いところに避難をしないと大津波にのみ込まれてしまう…

住民たちは、叫びまわりながら助けを求めていた。

中みなと町では、倒壊した家屋が燃えていた。

「たっ助けてくれ!!」
「助けてくれ!!お願いだ!!ビルへ上がらせろ!!」
「赤ちゃんがいるのに助けてくれないの!?」
「オラ!!開けろ!!」
「ここのビルのオーナーはどこへ逃げたのだ!!」
「出てこい!!ボンクラビルオーナー!!」
「子供だけでも中に入れてよ!!」

大パニックを起こしていた住民たちは、通りかかった中央消防署の消防車に向けて投石をするなどエスカレートをしていたので、住民たちの避難が刻々と遅れていた。

そんな中で、ギンゾウがふらりとやって来た。

ギンゾウは、義母に会いたい一心で借家の近辺に来ていた。

この時、2軒先の家が倒壊をしている上に燃えていた。

この時、アタシと義母と父が暮らしていた借家にも火がついて燃え始めていた。

「しゅうか!!おーい!!しゅうか!!どこにいるのだ!?」
「助けて…あなた…助けて…こずえちゃん…」

義母は、倒れたタンスの下敷きになっていて助けを求めていた。

「しゅうか!!今助けるからな!!しゅうか!!」

必死になって、ギンゾウは義母を助けようとしていた。

倒れたタンスを起こそうとしていたが、ものすごく重いために、思う通りにあがらなかった。

ギンゾウのイライラが高まっている中で、時計のはりは午後3時22分になっていた。

このあと、最悪の悲劇が発生した。

(ドードードードー!!ドカーン!!バリバリバリ!!ドカーン!!ドカーン!!)

この時、灼熱の炎を伴った巨大津波が激しく押し寄せてきた。

町一帯が大炎上を起こした時、ギンゾウは津波に流された。

「助けてくれ!!助けてくれ!!」

アタシはその頃、JR気仙沼駅から一ノ関寄りへ700メートル先にある高台に避難して無事だったけど、アタシは恐怖のあまりに頭がサクラン状態におちいった後、その場に座り込んでいた。

アタシは大震災の発生からまる3日の間、その場から動けなくなっていた。

アタシは、東日本大震災で住むところと学校を焼かれた上に、父親と義母を亡くしてひとりぼっちになってしまった。

ギンゾウは、3日後にガレキにうもれている中で消防団の人たちに発見されたが、発見された時には亡くなっていた。
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