【女の事件】黒煙のレクイエム

第58話

８月30日に、アタシが恐れていた深刻な事件が発生した。

ひろゆきの父親が経営していた運送請け負い会社で働いていたかつての従業員さんたちが提訴していた民事裁判がひろゆきの父親の家庭内の都合で無期限延期となったので、かつての従業員さんたちの怒りが最高潮に達していた。

かつての従業員さんたちは、JR高蔵駅前の広場に集まって集会を開いていた。

従業員さんたちは『ひろゆきの父親は我々の手で裁こう!!もはや司法はあてにならない!!』と叫んでから『徹底して戦うぞ!!』と決意した。

ひろゆきの家への怒りは、大留町の住民たちの間にも波及していた。

この時、かつての従業員さんたちだけではなく大留町のひろゆきの家のキンリンで暮らしている住民たちが暴徒化して行こうとしていたので、暴動が発生する危険性が差し迫っていた。

そして８月31日の明け方に、アタシが恐れていた事件がとうとう発生した。

時計の針が朝５時50分頃になっていた時に、アタシはつばきちゃんの叫び声で目覚めた。

「こずえちゃん!!起きて大変よ!!ニュース速報が入ったわよ!!急いでテレビをつけて!!」

つばきちゃんの声でたたき起こされたアタシは、急いでテレビをつけてみた。

テレビの画面には、朝のワイド番組で芸能ニュースが流れていた。

テレビの画面には、名古屋出身のカリスマモデルさんが女の子を出産して、喜びの会見のニュースがニュース速報か…と思ってなーんだと思っていた時に、画面の上に『○△Ｎ緊急ニュース速報』と表示されて、恐ろしいブザーが鳴っていた。

そしてこのあと『愛知県春日井市に非常事態宣言を発令!!』と言うテロップが表示された。

この時、ひろゆきの家の前では、暴徒化した住民が手当たり次第に石やかたいものを家の敷地内に投げつけて大声を挙げて騒ぎ始めていたので、暴動が発生した。

(ガシャーン!!ガシャーン!!ガシャーン!!バリバリバリ!!バリバリバリ!!ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!)

ひろゆきの家の前では、暴徒化した住民たちが手当たり次第に石やかたいものを家の敷地内に投げつけた後、一斉に敷地内になだれ込んで金属バットやゴルフクラブのウッドなどを振りまわしながら家の中に侵入した。

この時に、ひろゆきの父親が家の中にいたので暴徒化してしまった19歳の少年がサバイバルナイフを向けて『オドレ(ひろゆきの父親)!!テンチュウ!!』と叫んでひろゆきの父親を攻撃した。

ひろゆきの父親は、その場で殺されてしまった。

暴動は、ひろゆきの父親が経営していた運送請け負い会社でも発生していた。

かつての従業員さんたちが暴徒化して車検切れの車に油をまいて火をつけたり、事務所をめちゃめちゃに荒らしていた。

暴動は、春日井市内にあるひろゆきの父親の親族の家でも発生した。

暴徒化した住民たちによる投石や討ち入りで、親族８人が殺された。

暴動は12時間後におさまったが、現場はガレキの山と化した。

ひろゆきは、オーストラリア人のホステスにてを出したことが原因でチンピラたちからの怒りを買うて、袋叩きに遭った後、ひどく傷ついた状態で病院に救急車で運ばれた。

サナは、伊豆半島の石廊崎で身を投げようとしていたところを近くの住民に止められたので命は助かった。

今回の事件で、ひろゆきの家の家族や親族は春日井市で暮らして行くことができなくなった。

ひろゆきの家の悲劇は、大きなわだかまりとつめあとを残して幕を閉じた。