極甘クールな芸能人幼なじみの意地悪な溺愛




事件……それは人生初、壁ドン。
あれからたった数時間後の自宅で、私は男の子に迫られている。
しかも相手があの青山一佳だなんて、信じられない。



経験したことのない衝撃だった。
だって、圧倒的イケメンが至近距離で迫ってくるなんて恋愛経験値ゼロの私にとってみたら、胸キュンを通り越してほとんど未知の世界、SFファンタジーくらい現実味がないんだもん。



両腕で逃げ場を塞がれてしまって、どきどき、あたふた、そわそわと困惑や動揺で逆に彼から目を逸らせない。
こんな距離で男の子と接したことなんかないのに……どうしたらいいの?



ちょっとでも動いたら体温や息遣いにまで触れてしまいそうで、ひたすらかちこちになってる。



それなのに長い睫毛に縁取られた澄んだ瞳がまっすぐ見つめてくる。
何が起こってしまったのかまだ理解できないままなのに、彼はまるで挨拶でもするみたいに普通にこう言ったの。



「俺は紗知を独り占めしに来たんだけど?」



脳内に直接響く、少し低くて甘い声。
耳のそばで名前を呼ばれて膝はがくがく震えだした。
顔からは湯気。
心臓は破れそうにバクバク。
気を失ってないのが不思議なくらいにはパニックになってる。



大人気芸能人が何言ってるの?
ひ、独り占めって?
ここはどういう世界線?



「紗知、俺のことちゃんと見て?」



やっと目を逸らせたと思ったのに、顎をくいっと掴まれて無理矢理彼の視界に連れ戻される。
誌面の中でだって充分オーラがすごかったけど、そんなの比べ物にならないくらい実物の破壊力はすごくて……。



声のひとつも出せなくて、ひたすら身を固くして飛び出しそうなほど跳ねてる心臓を必死で押さえつけてる。



「俺にドキドキしてんだ? ふふっ、かわいい」


「かっ、かわ、かわ……っ?」



からかわれてる?
眉尻を下げてぷふっと吹き出す彼。
こっちはアイドルでも女優さんでもない、どこにでもいるオタクな眼鏡女子。



教室の隅でちまちまイラストを描いている地味な子が……クラスの男子ともまともに話したこともない私が、あの青山一佳にこんなことをされるなんて思いもしなかった。


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