【女の事件】続黒煙のレクイエム
第15話
それから数日後の11月30日のことであった。

つばきちゃんは、アタシの言う通りにかつひこの生命保険の証書を保険屋さんに持って行って、保険金を受け取った後に借金を清算した。

ところが、つばきちゃんが再びアタシに助けを求めてきたけん、ややこしくなってしまった。

時は、朝7時半頃だったと思う。

場所は、仙台の中心地にある均当台公園にて…

アタシが公園内にある園路をのんびりと歩いていた。

その時に、泣きそうな顔をしていたつばきちゃんと出会った。

つばきちゃんはアタシに『カレシの大酒のみが原因で作った借金の返済は完了したのだけど、今度はホストの借金の保証人になってしまった…助けて…』と言うてきたけん、アタシはどうしろと言いたいのよと言う表情でつばきちゃんに言った。

「ホストの借金の保証人になったって…どうして借金を次から次へと作ってメーワクをかけているのよ!!つばきちゃん!!あんたひとの話を聞いとんかしら!?」
「聞いているよぉ…」
「ほんなら聞くけれど、つばきちゃんはどうしてホストの借金の保証人を引き受けたのかしら!?」
「保証人を引き受けることは考えていなかったわよ…だけど…あの時、こずえちゃんから受け取った保険金の証書のこと…借金を完済することができたけん、1億は残ったのよ…ところがね…アタシがバイトをしているマダムズバーのホステスのCちゃんに目をつけられたんよ。」
「結局その時に、つばきちゃんはホストクラブにつれて行かれたのね。」
「うん。」
「問題のホストと言うのは、あんたがバイトをしているマダムズバーのホステスのカレのことを言うわけ?」
「そうよ…」
「何であんたは、他のホステスさんのカレシのホストの借金の保証人を引き受けたりしたのよ!?」
「アタシはあの時、アパートに帰ろうとしたのよ…お先にと言うて帰ろうとしていたらCちゃんにつかまってしまったのよ…その時アタシ、Cちゃんから『朝ごはん食べに行かない?』と言われたんよ…アタシ…Cちゃんと一緒にモーニングを食べに行くとばかり思っていたのよ…そしたらホストクラブへ連れて行かれたのよ。」
「その時に問題のホストと出会ったのね。」
「うん。」
「それで、あんたはどうしてホストの借金の保証人を引き受けたのかしら?」
「カレは…他の人に保証人を頼んだけど断られたのよ…カレその時、ロト7(数字選択方式の宝くじ)に大量に投資をして失敗したのよ…他にも…株式やギリシャ国債や南アフリカ国債などの外国債や新興国ファンドの投資にも失敗をしたのよ…その上に、ヤクザの組長の女をレイプして殺してしまった…そして、上納金(くみのカネ)に手ぇつけてもうたのよ…おまけに…」
「ちょっと待って、話は分かったから、いくらいるのかを言うてよ!!」
「いくらいるって…4億よ4億…アタシ…4億の借金の保証人になってしもたんよ…」
「要は、4億を早めに返したいと言いたいのね!!」
「うん。」

うんじゃないでしょ…

アタシは『しょうがないわね…』と言う表情でつばきちゃんをアパートへつれて行った。

ところ変わって、アタシが暮らしているマンスリーアパートにて…

アタシは、つばきちゃんにきよひこの生命保険の証書を手渡す前に多少怒った口調でつばきちゃんに言うた。

「つばきちゃん、あんた分かってはるよね…アタシが今、どんな思いをしてはるのかと言うのが…」
「分かっているわよ…」
「つばきちゃん!!お人好しもたいがいにしてくれるかしら!!分かっとんやったら、今回で最後にしなさいよ!!つばきちゃん!!」
「分かっているわよ…こずえちゃんにもうしわけないことをしてしまったことについては…あやまるわよ…」
「あやまるなら、きちんと心の底からあやまってー!!」
「分かっているわよ…」

つばきちゃんは、きよひこの生命保険の証書を受け取った後、保険金受け取りの欄につばきちゃんの名前を書いた。

そして、バックの中にしまい込んだ。

つばきちゃん…

もうええかげんにしてよね…

アタシはこの時、つばきちゃんをさげすんだ目で見つめながらこうつぶやいていた。
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