海の景色が変わる頃には…
昼休み
私と由香はお弁当を持って中庭に向かった。

由香は朝からずっと明るい話題を振ってくれていた。
それにだいぶ救われたけど休み時間のたびに来るあの女には、やっぱりイライラする。

「キャハハ!やだぁ~もう~」

女の子の高い声が中庭に響いた。

その声の方を見ると凌とあの女が中庭のベンチでお弁当を広げようとしていた。女はこれ見よがしにベッタリくっつきこっちをチラチラ見ている。

凌はいつも私に向けてくれていた
優しい笑顔で女に笑いかけていた。

「何なの!?何でこんなところにまで来るのよ!私あの女子に何かした!?凌いつも昼休みは教室じゃん!
私がいつも由香とここで食べてるの知ってるくせに!もーーーーー限界!!帰る!!」

急に立ち上がって帰ると言った私に由香はビックリした様子だった。

「え!?ちょ…!凛!!」

私は出しかけていたお弁当をカバンに投げ込み駆け出した。



向かった先は海だった。

カバンを砂浜に置いていつもの流木に座り、膝におでこをくっつけた。

相変わらず波の音だけが聞こえる。



何でこうなっちゃったんだろう。

どこで間違ったんだろう。

「あの日」から毎日同じ事がぐるぐる頭を回るけど、答えなんか一度も出ない。

凌とは毎日一緒に、ごく普通のカップルのように手を繋いで帰っていた。

何気ない会話の中で見せてくれる凌の笑顔はとても優しくて…

一緒にいると安心した。

その優しい凌の笑顔が大好きだった。
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