【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
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順調に回復したわたしは、予定よりも少し退院することができた。
そして今日は高校に復帰する日。
校舎に足を踏み入れ、いざ教室のドアの前に立ち、ドアを開こうとすると微かに足が震えていることに気づいた。
やっぱり怖い――けれど、ここで逃げるようなことはしたくない。
ぐっとお腹の下に力を込め、私は最初の一歩を踏み出した。
教室に足を踏み入れた途端、私を驚きの視線が包み込んだ。その視線の圧に負けないように踏ん張ると、震える口を開いた。
「お、おお、お、おはよう……!」
相変わらず短音を打つ不格好な声だけれど、初めて言えた。自分からおはようの挨拶を。
反応が怖くて立ち竦み、顔を上げられないでいると、こちらに歩いてくる数人の足音が聞こえてきた。
「だれかと思ったら、お騒がせな永藤さんじゃない」