【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
皇くんはターゲットを決めたらしく、一台のクレーンゲームを覗き込みながら早速コインを投入している。そしてわたしが近づくと、こちらを振り返り見た。
「桃。これ、お前がやってみろよ」
「え、わたし?」
「ほら、金入れてあるんだから早く」
急かされ、皇くんと選手交代するように台の前に立つ。そして慌ててボタンを押して操作するけれど、アームはなにも掴まず悲しそうに上がって行ってしまった。
「ああ~……」
「お前、へったくそだな。俺がやるから見てろ」
そう言って強引に台の前に立ち、ポップな音楽の中ボタンを操作する皇くん。すると皇くんの動かすアームは、その手を大きく開き、的確に大きなぬいぐるみを掴んだ。
「わ、掴んだ!」
「おし」