【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
そして揺れる衝撃に耐え、見事、出口の穴にぬいぐるみを落とした。
「よっしゃー!」
「すごい! 皇くん!」
あんなに大きなぬいぐるみを、まさか一発で仕留めてしまうなんて。思わず飛び跳ねて興奮していると、皇くんは取り出したネコのぬいぐるみをわたしに押しつけてきた。
「やる」
「え?」
「桃にやろうと思って取ったんだよ。受け取れ」
まさかわたしのために取ろうとしてくれていたとは思わず、驚きながらもぬいぐるみを受け取る。手渡されたぬいぐるのネコは、目つきが悪くて可愛げはないけど、どこか憎めないところがなんとなく皇くんに似ている。
「ありがとう、皇くん」
皇くんの優しさが素直に嬉しくて、わたしはぬいぐるみを抱きしめて笑った。
自分勝手で傲慢で嫌な人だと思っていたけれど、実は温かいところもあるのかもしれない。