【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい

「わたし、体育祭委員になってよかったかも」
「あ?」

 ぽつりと呟いた自分の声が、輪郭を持ち、じんわり胸に波紋のように広がっていく。まるでぽちゃんと小石を投げこまれたみたいに。

「最初は最悪だと思ってたけど、体育祭委員にならなかったら皇くんのこときっと怖い人だとしか認識してなかっただろうから」

 クラスの中ではまだまだ怖がられ、浮いている皇くん。だけどこの体育祭をきっかけに、クラスの子たちにも皇くんがいい人だってことを知ってもらえればいい。

「頑張ろうね、体育祭」

 改めて気合いを入れ直し、胸の前でガッツポーズをして見せる。
 すると皇くんはなぜかふいっと視線を外した。そして「さっさと買い物行くぞ」と、なぜかひとりでスタスタ歩いて行ってしまう。
 ぬいぐるみを胸に抱いたわたしは、「待ってよー!」慌ててその背中を追いかけた。



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