【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい



 ガッガッガッと工事現場のような音が、家庭科室に響く。

 皇くんと買い出しをした翌日。放課後になると、わたしは買ってきたばかりのキルト生地にミシンをかけていた。
 作っているのは、体育祭の時にみんなで体操着の裏につけるゼッケンだ。お揃いのキルト生地に、フェルトでかたどったそれぞれの名前を縫い付けていく。
 これは一応サプライズのつもりだ。全員の士気を高められるようなものはなにかないかと探していて、手芸屋でキルト生地を見た時にぴんときたのだ。
 だから家庭科室も、みんなには内緒でこっそり家庭科の先生に使わせてもらっている。

 下手だけど下手なりに喜んでもらえたらいいなと、無心で縫い続けること1時間。40人中31人目のゼッケンができあがったところで、腕がつりそうになって、わたしは手を止めた。

「ふう……」
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