【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
「そ、そう、ゴミ屋敷! だから皇くんに見られるのは恥ずかしいっていうか!」
「それなら仕方ねぇな」
謎の優しさに感謝しながら、これ以上の墓穴は掘るまいと急いでこの場を立ち去ろうとする。
「それじゃっ! また明日、学校で!」
右手をかざし忍者のごとく退散しようとしたところで、不意に後ろから腕を掴まれる。
振り返れば、瞳に淡い熱を灯した皇くんが、わたしを見下ろしていた。
「お前さ、俺のこと、好きになったかよ」
「それは……」
見たことのない真剣な眼差しに、ドキンと思いがけず心臓が重く揺れる。
「さっさと好きになっちまえよ」
まるでおまじないをかけるように皇くんが囁いた。それは、同じようなことを言われたあの日の響きとは、なにかが違っていて。
「……じゃ、また明日!」
なんだか皇くんの目を見ていていられなくなって、咄嗟に一言放って、その場から逃げるように駆けだした。
なんでこんなに恥ずかしいのだろう。
夜道を走りながら、無性に先生に会いたくなった。