猛獣御曹司にお嫁入り~私、今にも食べられてしまいそうです~
「三実さん!お帰りなさい。お夕飯はどうされますか?」
「ありがとう、済ませてきたよ。疲れただろう。いきなり妙な客がきて」

三実さんは気づかわしげに私の顔を覗き込み、背広をダイニングの椅子にかけ、私の向かいに座った。

「志信には早急に退去するよう言い続けるが、あいつは父の客の扱いでこの家にいる。父にゆっくりしていけと言われたのを大義名分にしばらく居座るだろう。夕食は別々にするよう手配するから」
「あの……三実さん……」
「あの少年は、俺の子ではない」

はっきりと、私が一番気になっていたことを口にする三実さん。
私はふっと肩から力が抜けるのを感じた。
三実さんの子ではない?

「あいつがこの家を飛び出して行ったのは、24歳の秋だ。翌年の秋にあの子を産んでいる。さらにあいつがいなくなる半年以上前から身体の関係はない。な、計算が合わないだろう?」

三実さんはいたって冷静に言う。
確かにそうだ。十ヶ月で出てくる赤ちゃんなのに、一年半も性的な関係がなくてできるわけがない。

「少し、昔話をしたい。隠していたわけじゃないんだが、幾子に嫌われたくなくて言わなかった」

バツが悪いという表情もしない。三実さんは堂々と私を見つめる。
きちんと受け止めなければと私は頷いた。
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