極上パイロットが愛妻にご所望です
 最寄り駅に到着し、改札を出る。

 傘を広げて、雨の中へ一歩踏み出したとき――。

「砂羽!」

 私は桜宮さんに名前を呼ばれた。一瞬、空耳?と思って、キョロキョロすると、もう一度呼ばれる。

 その声の方を見た私は空耳でなかったことに安堵する。

 目の前のロータリーのところで車を停めて、窓から覗いているのは間違いなく超絶美形の桜宮さんだ。

「桜宮さんっ!」

 こんな場所にいる彼にびっくりして、傘をさしながら、パールホワイトのSUV車へ駆けだす。もう、とっておきのヒールがどうなろうと気にしていなかった。

「乗って」

 中からドアが開けられ、私は急いで乗り込んだ。ドアを閉じる前に傘をバサバサ小さく開閉し、水滴を取る。

 それから、ドアを閉めた私は桜宮さんへ振り返った。

「どうして……? 連絡がなかったので驚きました」

「したんだけど、ついさっきだったから。砂羽はもう出た後だろうなと思って、ここで待ち伏せてた。もっと早く来ようと思ったんだが、寝坊した」

 私はバッグからスマホを取り出してみると、着信とメッセージが入っていた。もちろん彼から。


< 114 / 276 >

この作品をシェア

pagetop