極上パイロットが愛妻にご所望です
「そう。俺は最年少機長で、御曹司だから、存分に甘えていいよ」

 彼の吐息が夜会巻きで露出している耳にかかり、ぶるりと震えそうになる。

「桜宮さん……」

 早々に抱きしめられて、心臓がバクバク暴れている。今でこんなに甘いのだから、これからどうなってしまうのだろう。

「砂羽、座って。今用意してくるから」

 私を離した彼はアイランドキッチンのほうへ向かおうとした。キッチンはリビングを入って左手にある。リビングの左右にはドアがあり、別の廊下が見えたりと、かなり広いみたい。

「手伝います」

「いや、仕事で疲れているはずだから、休んでいてほしい。寝ないようにね」

 こちらへ戻ってきた桜宮さんは、突っ立っている私をソファに誘導して座らせる。

「すぐに用意できるから」

 そう言って微笑み、彼は私から離れた。

 ひとり暮らしが長いのか、桜宮さんは手際よくワイングラスとチーズや生ハム、クラッカーを用意し、ソファ前のローテーブルに並べる。

「好みのワインは? 赤? 白?」

「白が好きですが、赤も好き」

 彼は赤が好きなのかもしれないと、付け加える。

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