極上パイロットが愛妻にご所望です
「ああ。もちろん。窓から見ていただろう? コックピットからもばっちり」

「コックピットから見えたなんて、視力がよすぎです」

 気にしてくれていたのだと思うと、自然と笑みが漏れる私だ。

「十五分ほどディレイしましたよね? 心配でした」

「着陸許可が下りなくて上空で待ってた。腹になにか入れろよ。生ハムは?」

 桜宮さんはクラッカーにチーズと生ハムをのせて、私の口元まで持ってくる。

 私は向けられた眼差しと、差し出す長い指に、魔法にかけられたように口を開き、クラッカーを半分食べる。生ハムは全部私の口の中へ入り、残ったクラッカーとチーズをもらおうと手を伸ばすと、彼はそれを自分の口にポンと放り込んだ。

「あ……」

 まさか残りを彼が食べるとは思っても見なくて、バカみたいにポカンと口を開ける。

 そんな私に桜宮さんは楽しそうに口角を上げる。

 二十六歳で付き合った彼氏はいる。一度だけ寝たことも。でも、それだけ。痛いだけの経験でよかったとは言えなかった。

 こんなシチュエーションや、雰囲気にもなったことはない。ほぼ恋愛初心者と言っていい私にはさっきからハードルが高くて、戸惑いっぱなしだ。

「そういえば、砂羽はCA希望だったが、身長が足りずにGSになったと、平尾さんから聞いた。最初からうちに入社したわけじゃなかったんだな」

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