極上パイロットが愛妻にご所望です
 笑顔で乗客に接し、次々と仕事をこなしながらも、早朝五時に到着する朝陽のフライトを頻繁に確認してしまう。

 あ、無事に到着……。

 最年少機長になるくらいなのだから、腕は確かであると思う。でも、愛しているからこそ、どんな些細なことであれ心配してしまうのだ。

 休憩に入り、食堂でいつものように朝食を食べる。目の前で住田くんがもりもりとオムレツを食べている。

 私は卵とツナ、ポテトのそれぞれのサンドイッチを。

「水樹さんは有給休暇の申請をしましたか?」

 食欲がなく、なかなか飲み込めないサンドイッチをホットコーヒーで流し込んでいると、住田くんが思い出したように口を開いた。

「ううん。まだ。住田くんは?」

 朝陽とどこか旅行へ行きたいと思っていたけれど、彼からはなにも相談されず、延びてしまっている。

「僕は十月の第三週に一週間の申請を出しました」

「どこかへ行くの?」

「はい。大好きなパラオに」

 以前、彼はスキューバダイビングが趣味だと言っていたのを思い出した。
 嬉しそうな笑顔に、旅行へ行きたくなってくる。一緒に行く相手は、やっぱり朝陽しか思い浮かばなかった。

 
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