極上パイロットが愛妻にご所望です
「ＡＡＮがさらに大きくなっていく……？」

「ええ。おじいさまは経営統合まで考えてくださっているの。もちろんＡＡＮが有利なように。昔からアサヒは家族の一員みたいに可愛がられていたから、おじいさまにとって、私以上に孫のような存在なんです」

　本物の孫よりも孫のような存在って……それほどシモンズ家と朝陽は密な関係だったのね……。

「だから、どんな条件をつけてでも、おじいさまは私と結婚させるために尽力してくれるの」

　家絡みのことを出されてしまえば、私は太刀打ちできない。今さらながら、ハンナの家の権威を思い知らされた。

「私の望みが叶えられなかった場合、おじいさまは、可愛さ余って朝陽や彼の家族に直接的に危害を加えるかもしれないんです。そうなってもいいんですか？」

　危害を……？

　そんな言葉、信じられなかったが、彼女の祖父はシモンズの権力者。ハンナさんの言うことはあり得るのかもしれない。

「……朝陽から、ちゃんと話してもらいます。もう時間なので、失礼します」

　私は彼女に明確な返事を告げずに、その場を離れた。

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