極上パイロットが愛妻にご所望です
 朝陽は車外にいて、スマホを弄っていた。車に寄りかかりスマホを見ている姿が様になっていて、胸がキュンと高鳴る。

 いつもは車内にいるのに……。

 私は辺りを見回して社の者がいないか確かめながら、朝陽へ歩を進める。

 彼はすぐに私に気づき、端整な顔に笑顔を浮かべる。

「砂羽、お疲れ」

「朝陽もお疲れさま。ずっと事務所にいたの?」

 近づく私のために助手席のドアを開けてくれる。

「ああ。デスクワークしてた」

 パイロットは各部署に所属し、朝陽は運航安全推進部にいる。飛行データの分析し不安全要素を抽出して、対策を検討するということだけれど、私にはさっぱりわからない。

 そして彼は取締役でもあるから、ときどき本社へも赴いている。

「車の中で待っていてって――」

 いつも言っているのに……と、続けようとしたけれど、ふいに額にキスが落とされ言葉が続けられなくなる。

「俺、レディーファーストが身についているだろ? これでもひとりで乗らせることにいつも胸が痛んでいたんだぞ」

 茶化した感じだけど、本当にそう思ってくれていたのだとわかる。

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