極上パイロットが愛妻にご所望です
「久美は昨日ロスから戻ってきたのよね?」

「そうよ。あ、これお土産。たまにはと思って」

 仕事で行く久美はほとんどお土産を買わない。

 彼女がバッグから出したのは、二十代に人気のあるブランドのリップだった。

「それ、砂羽のお気に入りのブランドでしょう? 新色が出たらしくて、自分のも買ったの。お揃いなのよ」

「久美、ありがとう! 秋っぽい色で嬉しい! さっそくつけるからね」

 オレンジ色にほんのりベージュが入った落ち着いた色味だ。

「気に入ってもらえてよかった。きっと似合うわよ……ねえ、砂羽。王子とのことはどうなったの?」

 ふいに切り出され、一瞬まごつくも、正直に話そうと私はアイスティーをもう一度飲んでから口を開く。

「いつも通りにお付き合いしているわ」

「ってことは、ハンナのことは聞いていないの?」

 久美は目を見開いて驚き、私はやんわりと笑みを浮かべてコクッと頷く。

「朝陽、まったく変わらずに愛してくれるの。だから、ハンナさんのことは聞けずじまいでいる」

「はあ~っ。ますますハンナは、あちこちに言いふらしているというのに」

「うん……私の耳にも入ってくるようになったわ」

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