極上パイロットが愛妻にご所望です
 カフェでお腹を満たした後は、もう一度ショップなどをうろついてから、居酒屋へ入った。

 久美とこんなにのんびりしたのは久しぶりだった。

 結婚前の久美は準備で忙しかったから、かれこれ一年ぶりかもしれない。

 居酒屋でサワーを二杯ほど飲み、鉄板料理や揚げ物やおつまみを堪能して帰宅した私たちだった。
 

 翌日は早番。

 制服に着替えてブリーフィングルームへ急いでいると、前からキャリーケースを引いて並んでやってくるCAふたりがいた。

 夢中で話をしている彼女たちは、自販機のカップを持っている。

 廊下は広く、それほど端に寄らなくてもいいので、そのまま通り過ぎようとしたとき――。

「きゃあっ!」

 突然なにが起こったのか理解できなかった。悲鳴を漏らしてから、顔にかかった温めの液体へ指を滑らせてみると、コーヒーだということがわかった。

 すれ違いざま、彼女たちが私の顔に向かってカップの中身をぶちまけたのだ。

「あら? ごめんなさいね。手が滑ってしまったわ」

 そう口にするCAのひとりだけど、どう考えても手が滑って私の顔にかかるはずがないし、謝っている口調は楽しげで、もう少しで笑い声が聞こえてきそうなほど顔を緩ませている。

「あなた、桜宮機長とお付き合いしている人じゃない!?」

 もうひとりのCAが驚いた様子で聞いてくる。

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