極上パイロットが愛妻にご所望です
 ポケットからハンカチを出して顔を拭う。彼女たちの言葉に耳を傾けている場合じゃなかった。だけど、朝陽の名前が出た瞬間、手が止まった。

「身のほど知らずよね。ハンナさんから桜宮機長を奪おうだなんて。さっさと別れないとこれくらいじゃ済まないわよ」

 きれいにメイクが施されたCAたちの顔が、鬼のような形相にさえ見えてしまった。

 そこへ私を呼ぶ声がした。

「水樹さん?」

 住田くんだった。

 彼の声と足音が聞こえると同時に、CAふたりは足早に去っていく。

 とどのつまり……これは警告なのだ。

 朝陽と別れなければ、黙っていないと。

「水樹さん! いったい、どうしたんですか!?」

 住田くんはコーヒーがプンプンにおう制服と、私の顔を交互に見て、びっくりしている。

「ちょっとぶつかっちゃって。着替えてくるから。日向主任に遅れると伝えてくれる?」

「もちろんです! しかしひどいですね」

 しだいに怒りというかショックで手足が震えてくるのを堪えて、住田くんに返事もできずに更衣室へ引き返す私だった。

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