極上パイロットが愛妻にご所望です
「ハンナのこと、本当に俺はなんとも思っていないから。愛しているのは砂羽だけ」

「……でも、ハンナさんとは会社も絡んでいるんじゃ――」

「確かに政略結婚的な話はあったが、どうして愛していない女と結婚できる? 俺は桜宮家の一員だけど、そんなものに縛られない」

 朝陽の真摯な眼差しは熱く私を射抜くように見つめている。

「どうしても強制されるのであれば家を出ても構わないし、AANも捨てられる。どこでだって充分に生活できる。愛している女を不自由させないくらいの自信はある」

「朝陽……」

 彼のような人が私を愛しているのか不思議でならない。

「俺はやっとお前を見つけた」

「えっ……? 見つけた……?」

 意味が理解できず、首を傾げると朝陽は思い出したようにフッと笑みを浮かべた。

「砂羽は覚えてくれていないみたいだけどな」

 ますます彼の言葉に謎が深まる。

「十七年前、俺はここで九歳のCAに憧れる可愛い女の子に出会った」

「十七年前……ええっ!? あの、お兄さんが、朝陽だったの!?」

 私は小学校の頃に出会ったカッコいいお兄さんが忘れられなかった。
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