極上パイロットが愛妻にご所望です
 AANとカナダの大手航空会社との共同運航便なので、GSはうちの者だ。

 朝陽がファーストクラスのラインに近づくと、カウンターの中にいたGSのひとりが飛び出してきて、カートを預かる。

 ファーストクラスのお客さまは特別だけど……。やけに丁寧なのは朝陽が弊社の取締役だから……?

「桜宮さま。こちらで承ります」

 GSがカウンターの前へ案内する。

 チェックインカウンターのお客さま側に立つと、なんか変な感じだ。

 しかも朝陽は我が社の御曹司ということもあり、成田でも知れ渡っているはずだから。一緒にいる私が値踏みをされているのではないかと気になる。

 パスポートを渡して手続きをしてもらう間も、居心地が悪くて若干俯き加減でいるうちにチェックインが終了。

「砂羽、行こう。三十分前だ」

「あ、はい」

 朝陽は私の手を握り、ファーストクラス専用の保安検査場に向かって歩きだした。
 

 初めてのファーストクラスに胸がドキドキする。庶民の私はビジネスクラスでさえ利用したことはないし。

 せっかくのラウンジが、時間の都合で利用できなくて残念だったな。

 機内に乗り込むと、美人CAに「桜宮さま、水樹さま、本日はご搭乗誠にありがとうございます」と挨拶をされ、当惑する私だ。

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