極上パイロットが愛妻にご所望です
「本当にツイていてよかったわ。一生の思い出よ」

 寒さでこわばる顔を緩ませて、微笑みを浮かべる。

「俺のツイている意味は……」

 朝陽はそう言って言葉を切ってから私の方を向く。そして両手を分厚い手袋の上から囲むようにして握ってくれる。

 朝陽の後ろでオーロラの緑はいっそう濃くなっていた。ほんのりピンクがかった色も確認できる。素晴らしいオーロラだ。

「砂羽、結婚してくれるか?」

 一瞬、なにを言われたのかわからず、キョトンとする。

「砂羽?」

「ええっ? い、今なんて? け、結婚……?」

 聞き間違いだとしたら、めちゃくちゃ恥ずかしい。

「そう。結婚してくれる? オーロラが出たら、ここでプロポーズしようと思っていた。まあ、見られなくても今夜プロポーズするつもりだったけどな」

 私は驚きで目を見張り、足が震えてくる。まさか朝陽からプロポーズされるとは夢にも思っていなかった。まだ付き合っている歳月は浅い。お互いをよく知っているとは言えないのだから。

「砂羽?」

「び、びっくりしちゃって……」

「愛している。ずっとそばにいてほしい。素晴らしい景色を一緒に見たいと思うのは砂羽だけだ」

 朝陽は私を引き寄せ、抱きしめる。

< 224 / 276 >

この作品をシェア

pagetop