極上パイロットが愛妻にご所望です
「もう少ししたら、また来よう。あまり出ていると風邪をひく」

「はい」

 肩に朝陽の腕が回わり、キャビンへ促された。

 何回か外へ出たり、キャビンに戻って温かいスープやコーヒーを飲み、身体を温めるのを繰り返して、現在は二十二時。

 夜空を眺めてから、再びキャビンへ戻ろうとしたときだった。

 待ち焦がれていたオーロラは、突然姿を見せ始めた。

『オーロラが始まった!』と、声が辺りに響き、私たちにも聞こえてきて振り返り夜空へ視線を向ける。

「朝陽っ! オーロラが!」

 星が瞬く夜空にまるでカーテンが引かれるように、グリーン色をしたオーロラがゆらゆら揺らめいていた。

 目にしたときは少しだったが、それは徐々に大きく広がっていった。

「すごいな。まだまだ広がっている」

 朝陽が感嘆の声を漏らす。

 周りからも、うっとりとため息や興奮した声が聞こえてくる。

「なんて幸せなの……」

 私も例にたがわず、ため息が何度も漏れる。念願だったオーロラをこの目で、朝陽と一緒に見ているのだ。

「俺にもツキがあったようだな」

「えっ?」

 緑色の神秘的に揺らめくオーロラから朝陽へ顔を向けると、彼は私を見つめていた。

< 223 / 276 >

この作品をシェア

pagetop