極上パイロットが愛妻にご所望です
「関係ない? 私が原因なんでしょう?」

『辞めないし、砂羽と結婚もできる。なぜそんな噂が出たのか調べている最中だから』

 そう言われても気休めみたいで、信用できない。朝陽は私を守ろうとしているのではないか。本当はご両親と絶縁して、AANを辞めるのでは? 頭の中でその考えがグルグルと巡る。そしてその場合、あの脅しが……。

『桜宮氏が人生を懸けているパイロットの仕事を、世界中どこに行ってももう二度とできないように手を回します』

 真鍋さんの言葉が脳裏をよぎり、ぶるりと身体が震えた。

『砂羽? 聞いてる?』

「……やっぱり私と朝陽では違いすぎるみたい」

『は? いったいなにを言ってるんだよ。その噂は単なる噂だ。信じるなよ』

 朝陽の声に焦りの色が見え、若干早口になった。

 返事を考えあぐねていると――。

『明日戻ったら話そう。いいな?』

「朝陽……」

 もう話すことなんて……別れを告げるだけだ。朝陽の未来が私のせいで変わってほしくないし、家族と仲たがいしてほしくない。でも、ずっと一緒にいたい。だけど想いだけでは私たちは幸せになれないのだ。

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