極上パイロットが愛妻にご所望です
『そっちは十時過ぎてるんだろ? 早く寝ないと体調が悪くなるぞ?』

「ん……」

 声が震えてしまって、やっと出した返事だった。

『砂羽、愛している。なにも考えないでいいから、寝ろよ。おやすみ』

「おやすみなさい……朝陽」

 私の言葉を最後に通話が切れる。

 スマホを枕元に置いて、急いでティシュで頬に伝わる涙を拭く。

 もう私は決断するしかない。朝陽の幸せを切に願って。

 乱暴に身体を起こして、部屋の隅に置いてあるバッグを逆さにし、中身をラグの上に落とす。

 コスメポーチやポケットティッシュなどが散らばっている中、真鍋さんの名刺を手にした。

 名刺には、真鍋さん個人の番号が書かれている。

 返事をする約束の期限の一時間前、私は真鍋さんへ電話をかけた。
 

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