極上パイロットが愛妻にご所望です
「朝陽、すまない。あまりにも彼女が可愛すぎて苛めたく、いや、からかってみたくなったんだ。砂羽さん、申し訳なかった」

 先ほどまで『水樹さん』と呼んでいたのが、親しみを込めた『砂羽さん』になった。

「手っ取り早い話が、俺たちの結婚は誰からも反対されていない。シモンズのじいさん以外はな」

「えっ!?」

 話が呑み込めず、朝陽から桜宮専務へ視線を移動させる。

「砂羽さん、試すようなことを言って申し訳なかった」

 桜宮専務は本当に申し訳ないと思っているのか、若干笑っている。

 この人、鬼畜だわ……。

 ショックが治まってきた私はホッとしながらも、桜宮専務をそう思った。

 そこへ先ほどの女性が飲み物を持って戻ってきて、大理石のローテーブルに置いて下がっていく。

「砂羽、噂の出所の張本人は親父だった」

「親父って、社長……?」

 朝陽の代わりに、桜宮専務が語り始める。

「そうです。結婚話を喜んでいる父が重役たちに話したところ、湾曲されたようだ」

 どう話したら、話が湾曲されるのか……。

 朝陽はお兄さんへ視線を送って続けるよう促す。

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