極上パイロットが愛妻にご所望です
 友莉子が私の耳に顔を寄せる。

「本当の王子さまみたいね」

 こそっとささやく友莉子に、私は真面目な顔で頷く。確かに、フロックコートを着た朝陽は似合いすぎて、ボーッといつまでも見ていられそうなくらいカッコいい。

「じゃあ、砂羽。邪魔者は出ていくわね。桜宮機長、塗ったリップは取っちゃダメですからね」

 面と向かって「王子」とは呼ばないのは会社の先輩だからだろう。からかった久美と友莉子はクスクス笑いながら出ていった。

「楽しそうだったな」

 朝陽と向き合うと、また心臓がトクンと高鳴った。それを気にしないようにして微笑む。今日心臓の音を気にしていたら、きりがなさそうだ。

「もちろん。大親友なの。朝陽、とても幸せよ」

 朝陽の指先が私の顎を捉えて、上を向かされる。彼の瞳はいつもよりも熱がこもっている気がする。

「砂羽、めちゃくちゃきれいだ。キスして乱したいが、メイクを直す時間がないからやめておく」

「朝陽……」

 そこでドアが叩かれ、「花婿さま、花嫁さま、お時間です」と声がかかる。チャペルへ行く時間になったようだ。


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