極上パイロットが愛妻にご所望です
 友莉子に切ってもらおうかと横を向くも、左側に座るコーパイとの話に夢中である。

 ふうっとため息を漏らし、再びフィレ肉のローストへ意識を向ける。

「切ったから、これをどうぞ」

「え……?」

 驚いている間に、桜宮さんが私の皿を取り上げる。そして、彼のフィレ肉の皿が置かれた。丁寧にすべてひと口サイズに切られている。

「あ、ありがとうございます!」

「ナイフも使えないほど痛いんじゃ、かなりひどいんじゃないの?」

「平気です。助かりました。かぶりつくわけにもいかないなって」

 私は苦笑いを浮かべた。

「かぶりつくのも見たかったな。やっぱり皿を戻そう」

「あっ! それはダメですっ」

 皿へ伸びた彼の手を私が無意識に掴んで、我に返り、パッと離す。

「す、すみません……」

「触れたくらいで謝らなくてもいいよ」

 サラッと言ってのけられる。桜宮さんはなんとも思っていないよう。意識しすぎてしまう私がおかしいのだ。

 平常心、平常心。

「い……いただきます」

 彼に小さく断りを入れて、ひと口サイズに切られたお肉にフォークを刺し、パクッと口の中へ運ぶ。

 
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