極上パイロットが愛妻にご所望です
「手首を痛めた原因は? 仕事中に?」
「昨日は特に重量級のスーツケースと荷物が多数で、ちょっと痛めたんです」
「なるほど。それなら労災だな。しかもちょっとどころじゃないだろ?」
運転中の桜宮さんは前を見据えたまま話している。
さすがパイロット。車の運転も静かで、心地いい。高級車のシートは身体を包み込むようで、ほんのり革のにおいがする。それは彼からのグリーン系のフレグランスと交じり合って、心臓がドキドキしてくる。
話したこともない桜宮さんがどうしてここまでしてくれるのか不思議で仕方がない。私は思いきって聞いてみようと口を開いた。
「桜宮さん、どうして病院へ連れていってくれるんですか?」
多忙な人だと思うから、私なんかに構っている暇はないはずなのに。
「君の手が心配だから」
「心配してくださるのはありがたいのですが、親しい間柄でもないのに……不思議なんです」
赤信号になり、静かに車を停車させた桜宮さんは横を向いて、私のほうへグイッと顔を近づけた。
うわっ、そんなに顔を近づけないで。
思わず顔を引いて、見つめる彼の視線を避けて俯く私だ。しかし、俯いた瞬間、桜宮さんの片方の手がステアリングから離れ、私の顎を持ち上げた。
「昨日は特に重量級のスーツケースと荷物が多数で、ちょっと痛めたんです」
「なるほど。それなら労災だな。しかもちょっとどころじゃないだろ?」
運転中の桜宮さんは前を見据えたまま話している。
さすがパイロット。車の運転も静かで、心地いい。高級車のシートは身体を包み込むようで、ほんのり革のにおいがする。それは彼からのグリーン系のフレグランスと交じり合って、心臓がドキドキしてくる。
話したこともない桜宮さんがどうしてここまでしてくれるのか不思議で仕方がない。私は思いきって聞いてみようと口を開いた。
「桜宮さん、どうして病院へ連れていってくれるんですか?」
多忙な人だと思うから、私なんかに構っている暇はないはずなのに。
「君の手が心配だから」
「心配してくださるのはありがたいのですが、親しい間柄でもないのに……不思議なんです」
赤信号になり、静かに車を停車させた桜宮さんは横を向いて、私のほうへグイッと顔を近づけた。
うわっ、そんなに顔を近づけないで。
思わず顔を引いて、見つめる彼の視線を避けて俯く私だ。しかし、俯いた瞬間、桜宮さんの片方の手がステアリングから離れ、私の顎を持ち上げた。