極上パイロットが愛妻にご所望です
　ＳＵＶ車は車高が高く、がっしりしていながらも洗練されたフォルムで、ホワイトパールの艶やかなボディは、いかにも高級車の風格がある。

　助手席のドアを開けた桜宮さんは私に乗るように促す。

「どうぞ」

　桜宮さんは私を助手席に座らせると、後部座席のドアを開けて引き出物の紙袋を置き、車の前を回って運転席に落ち着いた。

　エンジンをかけた彼は、私のほうへ顔を向ける。

「住まいは？」

「す、住まいですか？　ど、どうして……？」

「万が一通院することも考慮し、近いところの病院がいいだろ？」

　桜宮さんはエンジンをかけ、ナビの検索メニューを出している。

「ＧＳだから、空港の近くに住んでいるよな？　もしかして寮？」

「寮ではなくて……」

　私は最寄りの駅を伝える。ナビで検索するのかと思いきや、なにも操作せずに身体の向きを戻し、アクセルを軽く踏んで車を動かす。

「病院の検索はしないんですか？」

「空港の近くに住んでいるのなら、俺の知り合いの病院へ連れていく」

　車は地下駐車場から地上に出て支払いを済ませると、歩道前に立っていた商業施設の警備員の誘導で幹線道路の波に合流させた。

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