極上パイロットが愛妻にご所望です
　その場のジョーク……？

「……桜宮さん、私はどう答えればいいのでしょうか？」

「は？」

　私へと顔を向けた桜宮さんはポカンと口を開け、鳩が豆鉄砲を食らったような表情になった。

　それからハッとして、前方へ意識を集中させる。

　一瞬、シーンと静まり返った車内に、突然桜宮さんはおかしくてたまらないような笑い声を上げた。

　爆笑の中、私は眉をハの字にさせて困り果てる。

「砂羽って、天然？　それとも俺を警戒して、わざとわからないフリをしているのか？　ああ、着いた。話は後でな」

　私の名前が彼の口からすんなり出て、あたふたしているうちに、桜宮さんは目的の病院の駐車場へ入ると、車をバックさせ、無駄のない動作でピタッとスペースの中に停めた。
　

　総合病院の整形外科で受診をソファに座り待つ間、ここに似つかわしくないブラックフォーマルスーツと、パーティードレスの私たちは患者さんたちの注目を浴びてしまっていた。

　特に桜宮さんに。

　彼はソファに腰を下ろすなり、腕を組んで目を閉じてしまった。

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