極上パイロットが愛妻にご所望です
 整った寝顔をまじまじと見てしまう。

 まつ毛が長い。廊下の照明が当たり、目元に影を落としており、うらやましくなる。

 鼻梁もスッと高いし、少し日に焼けた肌も、男の人なのにきめが細かくてきれい。唇だってなにもつけていないのに、薄ピンクで発色がいい。

 こんなにきれいな男性を間近で見ることなんてないから、隣に座る私の鼓動がドクドク波打ってくる。

 病院なんて居心地がいいわけないし、帰ってもらおう。

「……桜宮さん、ここで大丈夫ですから、お帰りください」

 付き合わせてしまい、申し訳ない気持ちから、眠ってはいないであろう桜宮さんに声をかけてみる。

 すると、彼はパチッと目を開けて黒い瞳を覗かせる。

「まだ話は終わっていないだろ」

 からかわれていないのかもしれない。でも、返事に困っているところへ――。

「水樹さーん」

 診察室のドアから看護師さんが顔を出して私の名前を呼んだ。

「はい……桜宮さん、行ってきます」

「診断書も書いてもらって」

 ソファから立ち上がった私はコクッと頷き、ドアへと進んだ。
 
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