極上パイロットが愛妻にご所望です
「毎日、針の筵にいる気分よ」

 彼女たちの行動を思い出すたび、はあっ、と重いため息を漏らしたくなる。

「ねえ、砂羽? 話をはぐらかしていない? 噂が本当ならあの後どうなったのよ。キューピット役の私に話すべきよね?」

「あ……、あのね? 桜宮さんが私を連れ出したのは、前日仕事中に痛めた手を気遣ってくれたからなの。だから病院へ」

 私はテーピングが巻かれた右手を顔の横に出して久美にちらつかせる。

「そういえば、テーピングしているなって思っていたの。うふふ。王子が病院へ連れていってくれたのね。手の具合はどう?」

 久美はニヤニヤしながら、グレープフルーツジュースのグラスに手を伸ばす。

 私も久美の意味ありげの楽しそうな顔から目を逸らして、ウーロン茶を口にした。

「で、王子は付き合おうって?」

「ゴ、ゴホッ!」

 思いがけない言葉に驚いて息を吸い込み、ウーロン茶が気管に入り込んでしまう。

「砂羽っ、大丈夫!?」

「大丈夫って、ゴホッ。久美ったら、わざとでしょう?」

 私は周りに迷惑がかからないように小さく咳をし、恨めしそうな目を久美に向ける。そんな私に久美はさらに笑みを深める。

「砂羽はわかりやすいんだから。いいの、いいの。私は砂羽の味方なのよ?」

「味方? 意味がわからないわ」

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