秘書清水が見た、冷徹社長の初恋
春日が町田さんを植物園につれて行った翌日。社長室は空気が違った。あの春日が、口元に笑みを浮かべている。

「おはようございます」

「ああ、おはよう」

「今朝もご機嫌ですね」

ギロリと睨む目も、いつもの冷徹な印象は弱く、はっきり言って緩んでいる。昨日、町田さんに会ったことを、改めて思い出していたというところか。

「絲は……俺の本質を見ていてくれた。俺は怖いだけの人じゃないと。彼女を見ていると、おもわず触れたくなる」

「なっ、ちょっと大丈夫ですか?訴えられるようなことは……」

慌てて聞き返すも、春日は至って平然としていた。

「いろいろあってな。おもわず頬や唇に触れたが、驚いていたものの、拒否はされなかった」

そのいろいろを聞いてもいいものなのだろうか?いや聞きたい。そこにこそ、脅しやらセクハラやら、犯罪めいたものが紛れているかもしれない……

「あまりに嬉しいことを言われて、おもわず抱きしめてしまったが、拒否されなかった」

いや、それはまずいんじゃあ……拒否されなかったのではなくて、怖くてできなかった可能性を考えてしまう。とにかく詳しく聞き出さなければ。

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