涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜
「カヤの作る料理はうまい」

そう言い、セダはまたテレサの前でカヤとキスを何度も交わす。アイザックたちが止めに入るまで、テレサは二人のキスをするところを見ていた。

「どうして、私じゃないの……」

セダのことを一番見ていた自分が、なぜ選ばれなかったのか。テレサはまた泣いてしまう。その時だった。

テレサの腕が強く掴まれ、裏路地の壁に押さえつけられる、テレサを捕らえたのは、海賊フェニキスのグレンだった。

「なっ……!貴様は!!」

テレサはすぐに懐からナイフを出そうとしたが、それよりも素早くグレンが銃をテレサの胸に押し付ける。

「妙な真似をしてみろ。お前はここで死ぬ」

冷たくグレンは言い、テレサは抵抗することをやめた。グレンは満足そうに微笑む。

「お前は、セダのことが好きなんだろう?なのにカヤに奪われてしまった」

「だからなんだ」

「取り引きでもするか?」

グレンの言葉に、テレサは「は?」と返す。グレンは笑いながら言った。
< 14 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop