涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜
覚えていてくれたことに、テレサは笑顔を見せる。セダもニコリと笑ってくれた。そして、セダの仲間たちにも挨拶をする。

「副船長のアイザック・ノートンです」

「ゴドフリー・ホープです!よろしく!」

「ライリー・ヴァルガスです。お世話になります!」

セダは船員たちと楽しげに話を始める。テレサは早く想いを伝えたいと、セダの腕を掴んだ。

「セダ、私あなたに言いたいことがあって……」

その時、「遅れてしまい、申し訳ありません」と落ち着いた声が響く。テレサが船の方を見ると、ハナダの美しい着物に身を包んだ背の低い女性がいた。同じように着物を着た二歳くらいの女の子と手をつないでいる。

「カヤ、レイア」

セダは優しく微笑み、テレサの手を外して二人のもとへ向かう。「お父様〜」とレイアと呼ばれた女の子がセダに抱きついた。

「えっ……。セダ、その方たちは……」

テレサは震える声で訊ねる。声だけでなく、体も微かに震え始めていた。セダは優しい微笑みを浮かべ、テレサに言う。
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