涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜

「テレサ、俺は結婚したんだ。ハナダ人のカヤと娘のレイアだ。実はカヤは妊娠していて、出産までこの国にいることになったんだ」

セダの言葉がテレサに突き刺さる。長い間想っていた人は、テレサの知らないところで愛する人を見つけて子どもを作っていたのだ。

「そう……。おめでとう、セダ。カヤさん」

テレサは笑顔を作る。本当は泣いてしまいたい。しかし、幸せそうなセダたちを見ているとどうしても笑うしかない。

「ありがとう」

「ありがとうございます」

セダとカヤはお礼を言う。そして、優しく唇を合わせた。テレサは、セダの唇の味を知らない。しかしカヤは違う。セダの唇も、体温も、何もかも知っているのだ。

「よし！早速パーティーだ〜！！」

ゴドフリーがそう笑い、ライリーも「やったわ！」とはしゃぐ。それをアイザックが「落ち着け」と止めていた。

「お前も参加してくれ」

逃げ出したいテレサにセダが言う。テレサは頷くことしかできなかった。