涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜

酔っ払い顔を赤くしたゴドフリーがテレサの肩を抱く。すぐにライリーとアイザックが、「飲み過ぎだ！！」とゴドフリーを引き剥がした。

「すみません……」

アイザックが謝り、テレサは「いえ……」と微笑む。レストランは海賊アレスの船員たちと多くのお客さんの笑顔であふれていた。誰もが料理や酒、そして人との会話を楽しんでいる。

「急用を思い出してしまいました。すみませんがこれで……」

テレサはこの場にいることに限界を感じ、テーブルに自分の飲んだお金を置いてレストランを出る。誰も、テレサを引き止めることはなかった。

レストランを出てしばらく歩くと、人通りの少ない場所になる。ずっと堪えていた涙が、テレサの頰を伝った。

テレサはその場に座り泣き続ける。その様子を、舌舐めずりをしながらグレンが見つめていた。



セダたちの船は、港に行けばいつでも泊まっている。テレサは海に行くことが嫌で、海軍の訓練に集中することにした。

自分の体を動かし続けていると、失恋の痛みなど忘れられる。涙を流すこともない。さらに海軍の忙しい訓練のおかげで、セダたちに会うことはなかった。