涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜
カヤは妊娠三ヶ月なのだと、テレサはセダから聞かされた。まだカヤのお腹は平らで、命が宿っていることはカヤにしかわからない。
セダとカヤが仲良く話すところを見ていて、テレサは何度も唇を噛み締めた。セダと長くいたのは自分だ。しかし、セダが選んだのは異国の女性だった。
「お母様、お父様。レイアともお話しして?」
レイアが話す二人に甘える。レイアにセダもカヤも優しい笑みを浮かべていた。レイアはグラスに入った酒を一気に飲む。
「レイア、おいで」
セダはレイアを膝の上に乗せ、レイアの頭を撫で始めた。カヤもレイアを撫でる。
「次に生まれてくる子は弟かな?妹かな?」
「レイア、あなたはお姉さんになるのよ」
ズキン、とテレサの胸が痛む。セダとそんな会話をしたかった。再開して、甘い未来を作っていけると空想を描き続けていたのだ。それは儚く崩れ去り、傷痕だけを残している。
「ひゃっほ〜!!飲んだ、飲んだ〜!!」