時は巡りて君は舞う
初めての事件と僕の幼なじみ
「レストレード警部か。どうした?」
それから数日後のある日、僕が本棚から引っ張り出した本を読んでいると、チャイムが鳴って、ホームズはドアを開ける。
そこに居たのは、警察の制服に身を包んだ茶髪の男性だった。警察官は、僕を見つめて首を傾げる。
「こいつは、ジョン・H・ワトソンだ。事情があって俺と一緒に住むことになった俺の助手だ。入れ」
「僕は、助手じゃないよ!!」
ホームズは簡単に僕のことを説明し、警察官を家の中に入れた。
「やぁ、初めまして。僕は、ロンドン警視庁から来たレストレード。よろしく」
「は、初めまして……ジョン・H・ワトソンです……」
僕は、レストレード警部に頭を下げる。
「それで、何の用だ?」
ホームズが問いかけると、レストレード警部は「奇妙な事件があってな」とホームズを見つめた。
事件、と言葉を聞いたホームズは、目を輝かせる。
「……どんな事件だ?」
「実は、殺人事件があったんだ」
「何だよ。ただの殺人事件かよ。つまんねぇ」
明らかに不機嫌そうになったホームズに、レストレード警部は「そこまではな」と苦笑した。
「実は、殺害されたカエデ・ウーリーさんのポケットからこんな紙が出てきたんだ」
レストレード警部は、そう言ってホームズに紙を渡す。それに目を通したホームズだけど、訳が分からない、という顔で紙を見つめた。