へんてことわたし
夜の散歩

私は夜が好きだ。

しん、と澄み切った少しパリッとした空気の感覚。

肺に空気を吸い込むと少し身体が洗われたような、少し不思議な感覚。

周りにはぽつぽつと並ぶ街頭の無機質な明かりと自販機の明かり。世界が私だけを置いて触れないでくれる、自分だけを見つけれる大事な時間。

聞こえるのは車の音と、自分の呼吸と靴の音。それだけ。


「また、迷子か。」
背後から、声。むっとした。確かに私は背は小さい方だが、もう、19だ。迷子と言われる筋合いは無い年齢だ。失敬な。

「心配無用です!迷子じゃ、ないので!」


振り返るとが街頭に照らされて見える黒いふわふわとした毛玉のような、かかえれそうな大きさのへんてこががいた(居たと言っていいのか分からないが。

「ふうん。」

とぽんっぽんっとリズミカルに跳ねながら、へんてこが言う。

別に驚きもしなかった。

むしろやっときたのか、へんてこが。と。私は、夢見がちはふわふわとした、乙女、という訳では無いが、この世は知らないこと、不思議なことがたくさんあると感じている。
例えば宇宙のことのなんて、私は100000000分の1も全く理解していない、と思うし。こんな、想定外のこともあるだろう。という、想定内。

トト〇も好きだったし、内心、少し嬉しかった。

まぁ、少しは驚いたけれど。
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