へんてことわたし
ポンポンと跳ねるへんてこを見つめる。不思議な生き物だ。


「まぁまぁ、そんなに見るなよ」とへんてこは言う。

「この時間にはたくさんの迷子がふらふらしてるんだ。今は迷子じゃないけど。君は。」

真ん丸な瞳で見つてくる。

黒目、くりくりでかわいい。なにを考えているのかは、全く読めない。

「そういうやつほど、1年後、2年後、はたまた、5年、10年後ふらり、と、この時間か、もっと遅い時間に現れる。そして言うんだ。迷子になったって。人生について聞いてもないのに勝手に喋り出す。人間って面白いよなぁ、人間は生きてるだけで迷子になるんだもの。」

くくくっと目を細めて無邪気にわらうへんてこ。

この子は一体???

「私、また来るかも、明日。あなたは、いつ頃くるのかい。」


?!

私、なんてこと。自分の言ったことにびっくりして、目を丸くした。え?本当になぜ?

すると、へんてこを目を丸くした。

「くくっ、珍しい人間もいるもんだなあ。やっぱり、迷子か。でも明日は少し急ぎすぎ。またふらりと、おいらは現れるさ。君がおいらを必要とした時、かな?」


「じゃあ、また会う日まで」

手を振る私は

「はいな、また月が満ちた時にでもね。」


すると、しっぽを使って、ぴょこりと、飛んで闇夜に消えた。
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