雨のリフレイン
まるで、柊子が悪事でも働いたかのように、三浦が言った。

「そう、ですけど…」
「私、水上先生と、付き合うことにしたの。
彼は、優秀よ。ご実家も地元では有名な資産家だし、申し分ないわ。将来的には結婚して、私の実家の病院を継いでもらうつもり。
だから、あなた、もう必要ないから。
あなた達のような貧乏人が、お金目当てで私たちみたいな人間に寄生したいのもわかるけど」


初対面でいきなり、殴られた気分だ。
唐突で、しかもあまりの言われ方に柊子は言葉が出てこない。


「真面目な水上先生のことだもの、あなたみたいな可哀想な身の上の子、きっと放っておけなかったのね。その優しさにつけこんで、彼に寄生して。図々しいったら!」


アイメイクバッチリのややつり上がった三浦の目が、柊子を睨む。


「水上先生と結婚、ですか?それは…」


柊子はそこまで言ってハッと我に返り、言いかけた言葉を飲み込んだ。


ーーそれは、無理でしょう。法律的に。


興奮してグイグイと自分の意見を述べて一方的に非難する三浦に対して、柊子は妙に冷めていた。







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