雨のリフレイン
翔太の言葉に柊子は驚いた。
改めて身にまとっていたドレスを見る。

セミオーダーのドレスだなんて、知らなかった。
たしかに、試着の時より体にピッタリしている。
露出やレースのつき方が変わった気がしていたのは、実際に直してあったからだった。

しかも、試着の時に同席していた女性言葉を使う男性スタッフが、実は世界的デザイナーJUNNZO SUZUKI本人だったと知って、さらに驚く。
一条家御用達なのだそう。
翔太が融通を利かせてくれたのだ。


「ビックリしすぎて、腰が抜けそう。
なるほど、そんなドレスなら見本写真に使えるわね。
お母さん、知ってたのなら教えてよ」

「言ったわよ。
アンタが心ここにあらずで聞いてなかっただけ。
試着の日、徹夜明けでボーっとしてたじゃない。
それより、暑いから。グズグズ言ってないで、写真、撮っちゃいましょ」

< 118 / 302 >

この作品をシェア

pagetop