雨のリフレイン
「すごいのよ、柊子。
シェフおまかせコースが食べられるんだって!
さっき、総料理長自ら挨拶に来たのよ?
やっぱりすごいわ、翔太先生。普段のだらしなさからは考えられないけど。やっぱり、あの“一条”の一族なのねぇ」


母は、久しぶりのワインに少し酔っているようでものすごくご機嫌だ。


「これでも俺、しばらくは“一条”の跡継ぎだったんだよ。一条当主の伯父のところに、ひとまわり離れたイトコの拓人(たくと)が産まれるまで。
肩の荷が降りたから、中学からは父と一緒にアメリカ留学出来たんだ。それまでは、跡継ぎだって言われてがんじがらめの生活でね。
アメリカでは自由で楽しかったなぁ」


運ばれてきた食事を美味しく食べながら、翔太は現在の職場での大変さや楽しかったアメリカ時代の話を面白くおかしく話す。
おかげで笑顔の絶えない食事となった。

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