雨のリフレイン
あれから4年。こうして対峙して、改めてただいまと言われると、忘れられない4年前の別れの時をまざまざと思い出す。

「ただいまだなんて。そもそも、年賀状と誕生日カードくらいの連絡しか寄越さない人を待ってなんかいなかったし」
「宛先不明で戻って来なかったから、住まいも名前も変わってないんだね」
「そんな事の確認の為に送ってたの?」
「そんな事?僕にとっては一番大事なことだよ」

穏やかな口調の山岸と、強くキツイ口調の三浦。
山岸は、常に三浦を優しく受け止める。

「水上に聞いたよ。三浦教授のこと。
香織、微力だけど、僕にできることない?」
「ないわよ。團はアメリカで好きな勉強をしてればいいわ。私は、名古屋に行く。多分、名字も変わるわ。もうハガキも届かないから」
「ハガキは、もう送らないよ。
名字が変わるのは多分僕だし」

「…團、結婚するの?」
「うん。そのつもり」

三浦の顔色がみるみる青ざめる。
それまで黙っていた柊子だったが、心配になって三浦に歩み寄ろうとして、洸平に止められた。

「団長に任せよう。俺たちは、見守るしかない」
「でも…」
「大丈夫」

洸平は、柊子の肩に手を回して抱き寄せた。柊子も伸ばしかけた手を、肩に置かれた洸平の手に重ねてぎゅっと握りしめた。






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