雨のリフレイン
柊子はそう言ってから、床に置いていた自分の荷物を手にした。

「山岸先生、三浦先生。せっかくいらしたのだから、ゆっくりしていて下さい。
すみません、私は今日のレポートのまとめをしたいので失礼しますね」
「あら、八坂さん。あなたラッキーよ。ここには医師が3人も。どれ、レポート見せてご覧なさい」

この場から逃げる為の口実だったのだが、三浦が柊子の退場を許さない。

「プロポーズ成功して、幸せいっぱいの夜ですよ、三浦先生?たかが看護学生のレポートに目を通すことに時間を割いては勿体ないです」
「あら、言ってくれるじゃないの。
八坂さんは卒業したらやっぱり横浜に行くの?」
「いえ。私はこのまま大学病院で修行します。
新しい医療センターでは新人教育する余裕ないですから」
「まぁ、そうよね。どこも大変だわ。
…わかった。團、行きましょ。遠慮なく少し食べるものもらっていこう。
水上先生ずっと忙しかったでしょう?たまには夫婦水入らず、ゆっくりしたらいいわよ。
色々ありがとう。お世話になりました」





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