雨のリフレイン
「洸平さん。…洸平さんが投資してくれたおかげで、無事に卒業できました」
「あぁ、首席とは立派だった。卒業、おめでとう」


洸平は、柊子の大好きなさわやかな笑顔を見せる。その笑顔に胸はドクンと高鳴る。
だけど、言うなら今しかない。
柊子は、重い口を開いた。


「ありがとうございます。
ですから、最初の約束の期限になりました。
四月からは私も社会人です。
洸平さんも、横浜新医療センターに勤務になって、今まで通りという訳にはいきません。
…婚姻関係は、どうしますか」


柊子がやっとの思いでそう切り出すと、洸平はサッと笑顔を曇らせ、眉をひそめた。


「…柊子はどうしたい」


洸平に尋ねた質問が、そのまま返される。


「私は、今のところ不都合はありません」

「じゃあ、継続でいいんじゃないか。
わざわざ確認はいらない。俺は今の家族関係に充分満足している。
それとも。
柊子は、もう、やめたいのか?」

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